1. 切削方法の詳細 ドリリングとは
ここまでの記事で、切削工具を使った加工方法には3種類あることをお話ししました。簡単におさらいすると、削られるものである被削材が回転する加工が「ターニング」、刃物である切削工具が回転する加工が「ミーリング」です。また、穴をあける加工を「ドリリング」と呼んでいます。詳しくは、「切削工具の使い方 〜切削の種類と切りくずの重要性〜」をご参照下さい。
切削工具の使い方 ~ドリリング編~
3種類ある切削工具を用いた加工方法のなかから、今回は「ドリリング」についての解説です。ドリリングの加工特徴と他の加工方法との違い、2種存在する加工種類について、写真も交えてわかりやすく解説します。
ドリリングも他の加工と変わらず、工作機械・切削工具・被削材があれば加工できます。しかし、ドリリングは加工している刃の部分が被削材に入り込むため、切削している状況が見えません。簡単そうに見えても、他の加工よりも難しい加工なのです。加工の状況が見えないため、切削状況は切りくずの形や色、長さで判断します。ドリリングの切りくずは他の加工と異なり、全てドリルの溝から出てきます。もしも溝が無かった場合は切りくずが排出されず、上手く加工ができなくなってしまうのです。
また、ドリリングはターニング同様、常に工具が材料に当たっている連続切削であり、切削時は絶えず高い温度となっています。そのため、ターニングもドリリングも一般的には液体のクーラント(切削油)を使用します。特にドリリングは、ターニングと異なり被削材の中で加工するため、液体のクーラントの効果が絶大です。工具自身に穴をあけ、ドリルの先端から液体のクーラントを出す工具も存在します。
2. ドリリング加工の種類 (1)穴をあける加工
ドリリング加工の種類は大きく分けて2種類あります。1つが穴をあける加工、もう1つがあけた穴の加工で、目的や内容によって加工方法が異なります。
3. ドリリング加工の種類 (2)あけた穴の加工
続いて、あけた穴の加工についてご説明します。あけた穴の加工方法はいくつかありますが、ここでは代表的な2つをご紹介します。
1つ目は「ねじ穴の加工」で、「タップ」という工具を使用して被削材にねじ山を作る加工です。できたねじ山にねじやボルトを入れて使用するための加工で、ねじ穴は部品と部品をつなげるために求められます。ねじであれば脱着ができ、溶接などと比べて自由に金属同士をつなぐことができるのです。
2つ目は「面取り加工」です。被削材の尖った角を取る加工で、専用の工具を使用します。穴の面取りが求められる理由には、バリを取って精密につなげる、被削材の欠け防止、作業者の怪我防止などの理由があります。尖った角を取ることで、作業者にとっても被削材にとっても安全なものとなるのです。
今回は「ドリリング」という切削方法の解説と、ドリリングによる2種類の加工方法をご紹介しました。
MOLDINO お役立ち情報 技術コラム 2024.02.09より引用